総資本売上総利益率の説明と改善


総資本売上総利益率とは

経営事項審査のY評点指標の1つである総資本売上総利益率について説明します。

計算式

総資本売上総利益率は以下のように計算します。

売上総利益/総資本(2期平均)×100

総資本は2期の平均値を取ります。

点数

総資本売上総利益率は上限を63.6%、下限を6.5%とします。その値をもとに経営状況点数(A)を以下のように計算します。

経営状況点数(A) =-0.4650×(X1)-0.0508×(X2)+0.0264×(X3)+0.0277×(X4)+0.0011×(X5)+0.0089×(X6)+0.0818×(X7) +0.0172×(X8)+0.1906 (小数点第3位を四捨五入)

上記のX3が総資本売上総利益率ということになります。1%すれば0.0264だけ経営状況点数(A)が改善します。

そこからさらに下記の計算によってY評点を計算します。

経営状況の評点(Y) = 167.3×A +583 (小数点第1位を四捨五)

さきほどの0.0264と167.3を掛けますとおよそ4点の改善となります。

総資本売上総利益率の改善

前述の通り、総資本売上総利益率を1%改善すればY評点がおよそ4点改善することになります。それではどのように改善すればいいか説明していきます。

売上総利益率を増やす

売上総利益は売上高と売上原価(完成工事原価)の差です。基本的には売上高を上げれば売上総利益が増えますが、反対に売上原価(完成工事原価)は増やさないようにする必要があります。

売上原価について

売上原価は材料費、労務費、外注費、経費に分かれますので、それぞれについて見ていきます。

材料費

完成工事に用いた材料費を計上するのですが、企業の多くは購入した材料をそのまま材料費に計上している場合が多いです。倉庫等に残っている材料については棚卸しを行い資産計上すべきです。それによって材料費は減額され売上原価の減少、売上総利益の向上につながります。

労務費

労務費は現場に従事した従業員の人件費です。
営業担当者や事務員の人件費はここには含まれません。通常、「販売費及び一般管理費」に算入します。その分、労務費が減額されれば売上原価の減少、売上総利益の向上につながります。
※売上総利益は向上しますが、営業利益に変化はありません。

外注費

外注費はほとんど工事に関するものだと思われますので、特に気を付けることはありませんが、もし工事以外の外注費があれば、「販売費及び一般管理費」に算入するようにします。

経費

経費については工事で必要だった経費とそれ以外の経費に分けて、工事分のみ計上することで経費が減額されれば売上原価の減少、売上総利益の向上につながります。工事以外の分は「販売費及び一般管理費」に計上します。

以上のように、工事で用いた分以外は工事原価に算入しないようにすることで売上原価の減少、売上総利益の向上につながります。

未成工事支出金について

上記の工事原価をすべて完成工事原価に算入するのではなく、まだ完成していない工事(未成工事、仕掛工事)に用いた分については未成工事支出金に算入します。その分だけ売上原価の減少、売上総利益の向上につながります。

総資本について

総資本を小さくすることで総資本売上総利益率は改善します。総資本を小さくする方策としては以下のものが考えられます。

  • 売上債権で不良債権化し回収が不可能なものは貸倒損失として損失計上し売上債権からは削除します。
  • 棚卸資産で実際には使えない資材などがあれば、除却損として損失計上し棚卸資産からは削除します。
  • 固定資産で時価が簿価より低い資産があれば、評価損として損失計上し固定資産からは削除します。
  • 固定資産で実際に使われていないものがあれば売却や廃棄を検討します。売却益、売却損或いは廃棄損として計上し固定資産からは削除します。

上記の4つのうち、損失を計上する場合は当期純利益が悪化します。計上するかどうかは慎重に判断してください。また資産だけでなく負債に着目すると下記の対策も有効です。

  • 借入金の返済による負債額の減額